東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

Language and Information Sciences, University of Tokyo

東京大学大学院総合文化研究科

言語情報科学専攻

〒153-8902 東京都目黒区駒場3-8-1

TEL: 03-5454-6376

FAX: 03-5454-4329

大石 和欣/ Oishi Kazuyoshi (教授)

専門分野

近代イギリスの文学テクストを社会や歴史という動態の中においてとらえるのが私の研究です。ことばが言語態として発現する過程で内奥に織り込まれた時代精神、歴史の搖動、文化の潮流、民衆の喜怒哀楽、それらを生地(テクスト)の位相から紡ぎだそうとしています。現在進めている主な研究テーマは、18世紀から19世紀前半にかけてのチャリティの思想的系譜および女性と公共圏との関係性、19世紀末から20世紀前半にかけての建築の表象を、言語態として捕捉することです。

業績

著書(抜粋)

  • Masashi Suzuki and Steve Clark (eds.), The Reception of Blake in the Orient (London: Continuum, 2006) [“An Ideological Map of (Mis)Reading: William Blake and Yanagi Muneyoshi in Early Twentieth-century Japan”(pp.181-94)を執筆。]
  • Kaz Oishi and Yukiko Dejima (eds.), Foundations of the National Trust: Lives and Works of Octavia Hill, Robert Hunter and H. D. Rawnsley, 5 vols. (Kyoto: Eureka Press, 2011).
  • Kaz Oishi and Felicity James (eds.), POETICA 75 (Dec. 2011). Special Issue: “Cross-Cultural Negotiations: Romanticism, Mobility and the Orient.”
  • 日本ジョンソン協会編『十八世紀イギリス文学研究4』(東京: 開拓社, 2010年)[“Unitarian Women and the Cross-denominational Alliance for Philanthropy: Anna Laetitia Barbauld, Catharine Cappe, and Catherine Clarkson”(pp.269-92)を執筆。]
  • 見市雅俊編『近代イギリスを読む — 文学の語りと歴史の語り』(東京: 法政大学出版局, 2011年5月)[「境界線上のルポルタージュ — フランスからのイギリス人女性の手紙」(pp.151-91)を執筆。]
  • 松澤和宏編 『テクストの解釈学』 (東京: 水声社、2012年3月)[「パロディとテクスト布置解釈学—イギリス・ロマン主義時代の一例」(pp.237-62)を執筆。] 
  • 新見肇子・鈴木雅之編『揺るぎなき信念— イギリス・ロマン主義論集』(東京: 彩流社, 2012年3月)[「『共感の疼き』—女性詩人たちとそれぞれの奴隷貿易廃止運動」(pp.29-45)を執筆。]
  • 小田原瑤子編『中京大学文化科学叢書 第13編 — ヨーロッパ文化の光と陰』(東京: 勁草書房、2012年3月)[「富と貧困、消費と奴隷 — 18世紀イギリス社会の光と闇」(pp.29-52)を執筆。]
  • 植月恵一郎編『農耕詩の諸変奏』(東京: 英宝社, 2008年)[「老いた猟犬係と羊飼い — ワーズワスと戦争詩人の反農耕詩」(pp.133-68)を執筆。]
  • (単編・共著)『実践英語(’10)— 映画とドラマで学ぶ』 (東京: 放送大学教育振興会、2010年)222 pp. (共著者: Stuart Varnam-Atkin、井口篤)
  • (共編・著)『スキット基礎英語−Welcome to Japan』(東京: 音羽書房鶴見書店、2009年) 77pp. (共編著者: 大橋理枝、Jon Brokering)
など

論文(抜粋)

  • "Coleridge’s Philanthropy: Poverty, Dissenting Radicalism, and the Language of Benevolence,” Coleridge Bulletin, n.s.15 (2000): pp. 56-70. 
  • “The ‘Scions of Charity’: Cowper, the Evangelical Revival, and Coleridge in the 1790s,” Studies in English Literature (English Version) 50 (2009): pp.45-64.
  • “‘An Unaccountable Diagonal’: Coleridge as a Faltering Unitarian Philanthropist.” IVY 42 (2010): pp.23-41.
  • 「優柔で、不安な女性の慈善〜Mary WollstonecraftのMaryのその背景」、『英文学研究』第83巻 (2006年): pp.1-14. 
  • 「錯綜する慈善のイデオロギー — ハナ・モアと奴隷貿易廃止運動」、『ロマン派研究』第32号(2008年):pp. 1-13.
  • 「氾濫する慈善とHannah Moreの福音主義 — Coelebs in Search of a Wifeの逆接(パラドックス)」『英文学研究』第85巻 (2008年): pp.27-41.
  • 「亡霊たちのオデュッセイア − シャベール大佐と墓畔のW・G・ゼーボルド」、『八事』第25号(2009年): pp. 101-04.
  • 「ある道路工事人と唯美主義者の肖像−ワイルドの社会主義とアメリカ講演」、『オスカー・ワイルド研究』第11号(2010年): pp.67-76.
  • 「FranceからPeruへ—Helen Maria Williamsの歴史記述の周縁性」、『日本ジョンソン協会年報』第34号(2010年6月) pp.1-5.
  • 「詩人と乞食〜英国救貧法とロマン主義文学〜ワーズワースの 『カンバーランドの老乞食』再考論」、『英語青年』(研究社)(1998年5月号): pp. 90-94.
  • “Convention and Innovation: Wintry Landscapes of Desolation in Pastoral Elegy.”  『放送大学研究年報』第21号(2003年): pp.147-169.
  • 「R. S. トマスのウェールズ農耕詩〜イアゴ・プリサーチが歩き続ける不条理な原自然的風景」、『放送大学研究年報』第22号(2004年): pp. 93-100.
  • 「廃墟のエコロジー」、『d/sign』第11号(2005年): pp. 88-93.
  • 「女性の慈善とバーボールドの曖昧な「公共心」 〜 ユニタリアン文化のジェンダー問題」、『放送大学研究年報』 第23号 (2005年): pp. 65-78.
  • 「『引喩』の政治性〜ロマン主義時代の女性詩における感受性言語と『公共圏の不安』」、『放送大学研究年報』 第24号 (2006年): pp. 85-92.
  • “The Silence of Abraham’s God: Harold Pinter’s The Dumb Waiter Revisited.”『放送大学研究年報』 第25号 (2007年): pp.109-16.
  • 「ラスキンとフォースターの見えない絆」、『ラスキン文庫だより』第55号(2008年): pp. 13-15. (無査読)
  • 「奇しき幻影—『亡霊たちの浜辺』とメアリ・ロビンソンの不安定なアイデンティティ」、『放送大学研究年報』 第26号(2008年): pp. 107-18. (無査読)
  • 「『精神の所有物』の継承〜ナショナル・トラストと環境思想」、『名古屋大学文学部研究論集(哲学)』 第57号 (2011年): pp.1-18.
  • 「ラスキンと『アメニティ』 — 震災と福島原発事故に際して想うこと」、『ラスキン文庫だより』 第61号 (2011年): pp. 8-12. 
など

翻訳

--------------------

国際シンポジウム(抜粋)

    (2010年以降のみ記載)
  • (研究発表)「『精神の所有物』の継承〜ナショナル・トラストとイングリッシュネスの再構築」日本イギリス哲学会全国大会シンポジウム(於 慶応義塾大学日吉キャンパス) 2010年3月26日
  • (研究発表)“The “Sublime” Revisited: A Search for an Origin of Romanticism in Travel Writings.” 日本英文学会第82回全国大会シンポジウム“Genealogies of Romanticism: Subjectivity, History, and Genre” (於 神戸大学) 2010年5月29日
  • (招待研究発表)「ドア越しの風景—オースティンと公共圏」ジェイン・オースティン協会シンポジウム (於 中京大学) 2010年7月3日
  • (研究発表)「パロディーのまじめな力学 − J. H. ReynoldsのPeter Bell. A Lyrical Ballad」日本イギリス・ロマン派学会第36回全国大会シンポジウム「笑いのロマン主義—Peter Bell三代記を読み解く」(於 大阪大学) 2010年10月9日
  • (研究発表)「忘れられた『ピクチャレスク』な風景—郊外小説に描かれた家を読む」日本英文学会中部支部第62回大会(於 金沢大学) 2010年10月16日
  • (研究発表)「多声の混沌:19世紀の文学とジャーナリズム(イギリス)」平成22年度名古屋大学文学研究科プロジェクト ワークショップ 「ヨーロッパ文学とジャーナリズム c.1820-1870 」 (於名古屋大学) 2010年11月3日
  • (特別研究発表)「ヴィクトリア朝建築の詩学 — 桂冠詩人が守った街並み」ヴィクトリア朝文化研究学会全国大会 特別研究発表(於 名古屋大学) 2010年11月20日
  • (講演)「ラスキンと『アメニティ』 — 震災と福島原発事故に際して想うこと」ラスキン財団 ラスキン研究講座「『アメニティ』を考える — ラスキンの「想像力」と現代社会」(於 中央大学駿河台キャンパス) 2011年4月23日
  • (司会・発表)「亡霊たちの語り — ハムレット、マキューアン、ゼーバルト」日本英文学会中部支部第63回大会 シンポジウム(於 名古屋大学文学部)2011年10月30日
  • (講演)「富と貧困、ショッピングと奴隷 — 18世紀イギリス社会の光と闇」中京大学文化科学研究所主催文化講演会(於 中京大学文化科学研究所) 2011年11月15日
  • (研究発表)“Sentiment, Consumerism, and the Culture of Giving in Eighteenth-Century Britain.” International Conference, “History of Consumer Culture” (於 学習院大学)2012年3月27日

その他の業績

  • (執筆協力)日本イギリス哲学学会編『イギリス哲学・思想事典』(東京: 研究社, 2007年)[執筆項目「自然保護運動」(nature preservation) pp.224-26. / 「仁愛」(benevolence) pp.290-92. ]
  • (特別寄稿)平岡塾編 『日本の「ダメ英語」を叩きなおす』(東京: 主婦と生活社, 2008)[「『ことば』へのまなざしと英語の理法」(pp.166-82)]
  • 「スポーツマンシップと紳士の精神」『幸いな人』 第194号(2008年7月): pp.15-19.
  • (主催)国際学会“Coleridge, Romanticism, and the Orient: Cultural Negotiations” 2011年7月16〜18日 (於 神戸国際会議場)[科研基盤(B)「他文化=多文化へのまなざし—コウルリッジとロマン主義文学における異文化間交渉の位相」(研究代表者 大石和欣)]
  • (主催)国際学会 “Genealogies of Curiosity and Material Desire: How has consumer taste been constructed?”  2012年3月26‾27日 (於 学習院大学)[科研基盤(C)「好奇心と物欲の系譜—教養文化とは何であったか?」(研究代表者 眞嶋史叙)および文化 ファッション機構研究助成金「近代イギリスにおける消費文化としての服飾と女性 」(研究 代表者 大石和欣)]
--------------------

受賞

  • 福原賞 (福原記念英米文学研究助成基金、2012年)